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小倉ふる里どり
 重要文化財に指定された貴重な美しい橋が現存するなど魅力がいっぱいの「河内貯水池」。今では、北九州有数の観光名所として広く市民に親しまれている同貯水池の歴史を紹介します。
中世ヨーロッパの古城風の
えん堤(八幡製鐵所所蔵)
 鉄鋼需要の増加に対処するため、製鉄事業に用いる工業用水の確保を目的に築造された「河内貯水池」。

 八幡東部を貫く板櫃(びつ)川の渓谷をせき止め、約430万円という当時では巨額の費用を投じてダムを造る大事業でした。工事は大正8年(1919年)から8年の歳月と約90万人の人力を使って行われ、昭和2年(1927年)に竣工されました。

 当時、コンクリート重力式ダムとしては東洋一と言われた貯水量700万トン、最大水深38・5mの両面切り石張りの河内ダムをはじめ、皿倉山の東から北へ送水する延長3kmの水路、中世ヨーロッパの古城風のえん堤などの付帯建物、河内五橋を含む取り付け道路を主とし、石と鉄による造形美が残されています。
 同貯水池周辺には、大規模構造物には当時貴重だった鋼材とコンクリートを有効に使い、それぞれ特徴を持った北河内橋、南河内橋、中河内橋、猿渡橋、今は撤去されている水無橋の「河内五橋」が造られました。その中でもひときわ美しい南河内橋は、通称めがね橋と呼ばれ、径間66m、幅員4・1mのレンチキュラートラスと呼ばれる凸レンズ型2連からなる鉄骨造の道路橋。部材接合にはピン構造を使用したリベット造りで、日本の橋梁技術を知る上でも極めて貴重な存在で、大正15年(1926年)に造られたとは思えないほどモダンなデサイン。

 レンチキュラートラス形式の橋は、19世紀前期からイギリスなどで建設が進められ、同期のアメリカで鉄道橋を中心に大量建設されていましたが、日本では大変珍しく、現存するのはこの橋のみ。平成18年(2006年)12月には重要文化財に指定され、高い評価を得ています。
 建設を指揮したのは、事業担当当時土木課長だった沼田尚徳(ひさのり)さん。“新しい物好き”の技術者の面と、漢詩や本を愛し造形感覚にも優れた文化人の2つの面を持つ沼田さんは、“めがね橋”のように高度な技術力に遊び心を加え、美観にもこだわりながら工事を進めました。

 沼田さんの河内建設に関するこんなエピソードも。建設中に会計検査院からめがね橋は無駄遣いだと指摘された時、「迂回(うかい)路の方が高く付く」という書類を急いで作らせたといいます。また、愛妻家としても知られ、夫を支え続け、竣工を見届けた昭和3年(1928年)に40歳の若さでこの世を去った夫人・泰子さんをしのんで「妻恋の碑」を建てたそうです。

 住み慣れた土地を提供してくれた八幡村の人たちのためにもできる限り美しい、皆に愛される貯水池を造りたい――。この熱意が形となった同貯水池周辺には、春には桜が楽しめる公園やサイクリングロードが整備され、憩いの場として現在も広く市民に親しまれています。
■ 河内天然温泉「あじさいの湯」
平成19年11月にリニューアルオープンした施設内には、天然温泉の露天風呂や家族風呂、本場の讃岐うどん(350円から)が食べられる食事どころ、ゆっくりとくつろげる休憩室があります。
 〔入館料〕中学生以上800円、3歳以上400円、65歳以上500円、障害者400円
 093・653・4126
■ 河内サイクリングセンター
 河内貯水池を中心に四季折々の風景と豊かな自然の中、家族や友達同士で春の風を感じながらサイクリングを楽しんでみては?
 〔使用料〕一般200円、中学生130円、小学生以下100円
 093・651・9000(土日祝日、春・夏休み期間のみ)
■ 河内桜公園
 木造の展望デッキや噴水広場、1.7kmの遊歩道などが整備されています。桜の季節はもちろん、四季を通じて風情のある美しさを見せてくれます。
■ 河内藤園
 花下面積約1650坪、花は22種類ほど。藤の花のトンネル(約80m)とアーチ(約100m)の周囲には700本の紅葉があり、絵に描いたような美しさが目の前に広がります。
 〔入園料〕一般1000円、高校生以下無料
 096・652・0334