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小倉城
 あのユニークな建物は、どのような経緯で作られたの? かねて疑問をもちながらなかなかゆっくり見られなかった「北九州市立美術館」に行ってきました。全館をくまなく散策すれば、一日中楽しめるスポットです。しかも、開館当初からの先進的な取り組みは、今も脈々と息づいていました。
小倉城
 北九州市立美術館がオープンしたのは昭和49年11月。五市合併後、「百万都市にふさわしい美術館を」という市民の要望を受けて作られました。

 旧五市のまん中に位置して見晴らしがよく、美術の鑑賞に適した閑静な環境という条件を満たす八幡東区と戸畑区の境の丘の頂上に、北九州のランドマークとなる個性的な特徴をもった美術館を――この確固たるコンセプトのもとに建物を設計したのは、大分出身の建築家・磯崎新さん。

 磯崎さんは美術館の設計は初めてのことながら、当時の市長・谷伍平さんが磯崎さんの作品を見て、その自由で斬新な発想に期待して起用。できあがったのは、空中に突き出た2本の直方体を中心に、左右に翼を広げたようなユニークなデザイン。のちに「丘の上の双眼鏡」の愛称で親しまれ、磯崎さんはこの功績を皮切りに、個性的な美術館の設計者として名をはせることとなります。

 その後、「地元作家の作品の常設展示を」との要望を受け、昭和60年、東側に新たに「アネックス」を建設。市民ギャラリーに加え、あふれそうだった収蔵庫の増設、そして収蔵が充実している版画の展示室など、地域に根差した文化活動のための拠点として活用されています。

 平成15年10月には、「もっと気軽に立ち寄れる身近な美術館を」とリバーウォーク北九州の中に分館を開館。ジャンルを問わずさまざまな芸術の発信拠点となっています。
この名札が美術館を支える市民ボランティアの証
 北九州市立美術館のもう一つの大きな特徴は“市民参加型”。開館と同時に、当時全国で初めてボランティア制度を導入し、来館者に対する作品解説や教育普及活動を推進。現在は数年の養成期間を経た一般市民(登録数約80人)が週1回、膨大な資料の整理と勉強会を行い、毎日交替でガイダンスを行っています。

 「いい展覧会を見せてもらえるし、それに携われることで楽しみも増えます。何よりの喜びは、20年来の友達ができたこと。お客さんには、一緒に絵を楽しみましょう、という姿勢で案内しています」と、開館まもない昭和50年からボランティアを行う冨樫節子さん(遠賀郡岡垣町、写真右上)。

勉強会の様子。
次代を担う子どもたちの活躍に期待!
  さらに今年から、「ジュニアボランティア」養成の取り組みを開始。市内の小学3年生〜中学3年生の30人が今年度美術館について学び、来年度から子ども向けの作品解説シート作成、ワークショップの手伝い、研究発表などを行っていく予定です。

 「子どもたちには、ボランティア活動を通じて美術を愛好し、美術に親しんでもらいたい」と、普及課の加来流水(るみ)さん。この中から未来のアーティストや名物学芸員が出てくるかもしれませんね。
DATA
■北九州市立美術館本館(093・882・7777)
戸畑区西鞘ヶ谷町21の1(午前10時から20分おきに「七条」「美術館口」バス停と美術館の間をシャトルバス運行)
http://www.kmma.jp/
開館時間 午前9時30分〜午後5時30分(入場は同5時まで)
休館日 月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
常設展観覧料 一般150円、高大生100円、小中生50円
企画展「リール近代美術館所蔵 ピカソとモディリアーニの時代」(平成19年1月14日まで開催中)観覧料 一般1000円、高大生700円、小中生500円 ※市内小・中学生は、「たんけんパスポート」を利用すると年5回まで企画展が無料で観覧できます
■北九州市立美術館分館(093・562・3215)
小倉北区室町1の1の1リバーウォーク北九州5階
開館時間 午前10時〜午後8時(入場は同7時30分まで)
休館日 年末年始および館内整理日
観覧料 展覧会によって異なる